無機材料の透過XRD及びPDF解析

概要

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■ AgやMo特性X線(波長0.0561nm, 0.0709nm)等の高エネルギーX線に対して 高い感度を持つ2D検出器GaliPIX3Dによる高速・高精度測定
■ 透過力の大きい高エネルギーX線を使用する事により、無機材料でも 0.5~1.0mmのキャピラリーや、反応セルを透過したXRD測定が可能
■ X線集光ミラーを使用すると、透過XRDにおいてサンプルサイズに依らず高 分解能測定が可能
■ Ag管球を用いると、Qmax=22.l/ A まで広いレンジの測定が可能
■ PrefixTMモジュールのため、光学モジュール交換に際し、調整不要

※以下結果のグラフや画像をご覧になりたい方は、会員登録し、ログインをすると見ることが可能です。

■GaliPIX3D検出器 

センサ一部分にCd-Te単結晶を用いた60 um角の素子幅を持つ2次元ハイブリッドピクセル検出器であり、広いエネルギーレンジに渡って検出効率が100%です。粉末XRD用に1D検出器として用いた場合、チャンネルの数分だけデータの積分の効果が得られ、従来法に比較して500倍以上の高速スキャンが可能です。

■ 集光ミラー光学系


光源より得られる発散したX線を検出器面に集光するビームに変換 する新しい光学素子。透過XRDにおいてサンプルサイズに依らず 一定の高い分解能を得ることが可能です。0.5 mmから1 mm径の太 いキャピラリーを使用することが可能であり、サンプル充填にかかる時間が大幅に低減可能です。

■デバイ ・ シェラ ー 法

デバイ•シェラー法は層状、針状鉱物や壁開性を有する試料のXRD測定で問題となる結晶優先配向を抑えて正確な回折強 度比を得る手法として最適な手法である。正確な回折強度比が得られれば配向による強度補正は必要無く、 結晶相の定量精度の向上、原子占率の計算精度向上などの結晶構造解析の精度が飛躍的向上することが期待できます。 下図はLiCo02粉末サンプルを0.5ミリ径のキャピラリーに詰め、 Mo波長とデバイシェラー法を用いて測定した結果です。(スキャン時間44分)HighScorePlusを用いてリー トベルト解析を行った結果、配向関数を使用せずとも良いフィットが得られ 結晶優先配向を抑えたデータが測定可能であることを示しています。 


■PDF分析

全散乱測定(Total scattering)は、Bragg反射及び散漫散乱全てを解析に用い試料原子のPair Distribution Function (PDF: 2体分布 関数)を解析することにより、試料中の短/p周期及び長周期規則構造を測定する手法です。非晶質材料の解析も可能で、半導体、医薬品材料、触媒材料やポリマー等のナノ結晶材料の研究分野で注目が高まっている分 析手法です。放射線を用いた測定が主流ですが、実験室系装置を利用して高品質な測定が可能になりました。


上記の模式図はPDFの概念を示しています。

PDF関数(右)に得られる各々のピーク位置は左図中心原子からの別の原子までの距離を表し、ピーク高さは該当距離に存在する原子の配位数(異種原子が存在する場合は電子密度)に相当しています。

下の測定例は、1 mm径キャピラリーにC60粉末を詰め、 Oxford Cryostream Plusステージにより室温と100 Kに置いて測定と解析を行った結果です。測定時間24時間/Scan Mo波長。PDFより、室温ではC60分子の熱運動により分子内距離に相当する範囲(破線)のみピークが観測され、 長周期構造は存在していません。低温では分子間距離に相当す
る範囲までピークが測定され、C60分子が集合してPa3の構造を取っていることが分かりました。 

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概要

AN191113XRD-01.jpg
■ AgやMo特性X線(波長0.0561nm, 0.0709nm)等の高エネルギーX線に対して 高い感度を持つ2D検出器GaliPIX3Dによる高速・高精度測定
■ 透過力の大きい高エネルギーX線を使用する事により、無機材料でも 0.5~1.0mmのキャピラリーや、反応セルを透過したXRD測定が可能
■ X線集光ミラーを使用すると、透過XRDにおいてサンプルサイズに依らず高 分解能測定が可能
■ Ag管球を用いると、Qmax=22.l/ A まで広いレンジの測定が可能
■ PrefixTMモジュールのため、光学モジュール交換に際し、調整不要

■GaliPIX3D検出器

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センサ一部分にCd-Te単結晶を用いた60 um角の素子幅を持つ2次元ハイブリッドピクセル検出器であり、広いエネルギーレンジに渡って検出効率が100%です。粉末XRD用に1D検出器として用いた場合、チャンネルの数分だけデータの積分の効果が得られ、従来法に比較して500倍以上の高速スキャンが可能です。

■ 集光ミラー光学系

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光源より得られる発散したX線を検出器面に集光するビームに変換 する新しい光学素子。透過XRDにおいてサンプルサイズに依らず 一定の高い分解能を得ることが可能です。0.5 mmから1 mm径の太 いキャピラリーを使用することが可能であり、サンプル充填にかかる時間が大幅に低減可能です。

■デバイ ・ シェラ ー 法

デバイ•シェラー法は層状、針状鉱物や壁開性を有する試料のXRD測定で問題となる結晶優先配向を抑えて正確な回折強 度比を得る手法として最適な手法である。正確な回折強度比が得られれば配向による強度補正は必要無く、 結晶相の定量精度の向上、原子占率の計算精度向上などの結晶構造解析の精度が飛躍的向上することが期待できます。 下図はLiCo02粉末サンプルを0.5ミリ径のキャピラリーに詰め、 Mo波長とデバイシェラー法を用いて測定した結果です。(スキャン時間44分)HighScorePlusを用いてリー トベルト解析を行った結果、配向関数を使用せずとも良いフィットが得られ 結晶優先配向を抑えたデータが測定可能であることを示しています。 

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■PDF分析

全散乱測定(Total scattering)は、Bragg反射及び散漫散乱全てを解析に用い試料原子のPair Distribution Function (PDF: 2体分布 関数)を解析することにより、試料中の短/p周期及び長周期規則構造を測定する手法です。非晶質材料の解析も可能で、半導体、医薬品材料、触媒材料やポリマー等のナノ結晶材料の研究分野で注目が高まっている分 析手法です。放射線を用いた測定が主流ですが、実験室系装置を利用して高品質な測定が可能になりました。

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上記の模式図はPDFの概念を示しています。

PDF関数(右)に得られる各々のピーク位置は左図中心原子からの別の原子までの距離を表し、ピーク高さは該当距離に存在する原子の配位数(異種原子が存在する場合は電子密度)に相当しています。

下の測定例は、1 mm径キャピラリーにC60粉末を詰め、 Oxford Cryostream Plusステージにより室温と100 Kに置いて測定と解析を行った結果です。測定時間24時間/Scan Mo波長。PDFより、室温ではC60分子の熱運動により分子内距離に相当する範囲(破線)のみピークが観測され、 長周期構造は存在していません。低温では分子間距離に相当す
る範囲までピークが測定され、C60分子が集合してPa3の構造を取っていることが分かりました。 

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