超遠心を用いたナノ粒子測定に向けたサンプルの最適化2 カーボンナノチューブ

イントロダクション

ナノ粒子を測定すると、たとえ一次粒子がナノオーダであっても、粗大粒子や凝集体など大粒子が混在することで、大粒子にデータが影響されてしまい、不安定な測定結果になったり、一次粒子が検出できなかったりすることがあります。 本資料では、超遠心機を用いてカーボンナノチューブサンプル中に存在する粗大粒子を除去しました。より微粒子を安定して検出することで、遠心処理によるサンプルの分離の効果の検証や分離後の分画の濃度測定への可能性について検討しました。

サンプルの処理

■使用機材

  • 工機ホールディングス製小形超遠心機
  • CS150NX スイング形ロータS50ST
  • 7PAチューブ(最大約7 mL、ポリアロマー製チューブ)

■使用サンプル

  • カーボンナノチューブ(以降CNTと表記) 

■作業内容 

  1. 試料を7PAチューブに約6 mL入れ、25,000 rpmで遠心分離。遠心時間は60分
  2. 遠心後、7PAチューブからスポイトで上部2mLを取り出し、別容器に回収。
  3. 回収したサンプルは蒸留水で500倍に希釈し、直ちに粒子径測定に供与。(60分)
  4. 遠心処理なしのサンプルは、蒸留水で1000倍に希釈し、直ちに粒子径測定に供与。(0分)

■使用機器

■測定条件

  • 撮像時間 60秒
  • 繰り返し回数 3回
  • カメラレベル 13
  • 検出スレッシュホールド 4
  • シリンジポンプ速度 20

測定結果

遠心によって粒子が沈降していくこと、また、D90の値が最も変化が大きいことから、粗大粒子の沈降が進行していることがわかりました。

また、粒子濃度に関しては、遠心後のほうが高くなっていました。これは遠心前には粗大粒子が強い光で散乱し、小さな粒子の散乱光を隠してしまっていましたが、粗大粒子の沈降によって、弱く散乱する微小な粒子が検出できるようになったと考えられます。

ナノサイトでは動的光散乱法同様に測定原理上、粒子径が球相当で示されるため、CNTをはじめとする高アスペクト比の粒子では、粒子径は正確なCNTの長さとは異なりますが、濃度情報については、遠心処理後のサンプル成分中の粒子濃度としてみていただくことができます。

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イントロダクション

ナノ粒子を測定すると、たとえ一次粒子がナノオーダであっても、粗大粒子や凝集体など大粒子が混在することで、大粒子にデータが影響されてしまい、不安定な測定結果になったり、一次粒子が検出できなかったりすることがあります。 本資料では、超遠心機を用いてカーボンナノチューブサンプル中に存在する粗大粒子を除去しました。より微粒子を安定して検出することで、遠心処理によるサンプルの分離の効果の検証や分離後の分画の濃度測定への可能性について検討しました。

サンプルの処理

■使用機材

  • 工機ホールディングス製小形超遠心機
  • CS150NX スイング形ロータS50ST
  • 7PAチューブ(最大約7 mL、ポリアロマー製チューブ)

■使用サンプル

  • カーボンナノチューブ(以降CNTと表記) 

■作業内容 

  1. 試料を7PAチューブに約6 mL入れ、25,000 rpmで遠心分離。遠心時間は60分
  2. 遠心後、7PAチューブからスポイトで上部2mLを取り出し、別容器に回収。
  3. 回収したサンプルは蒸留水で500倍に希釈し、直ちに粒子径測定に供与。(60分)
  4. 遠心処理なしのサンプルは、蒸留水で1000倍に希釈し、直ちに粒子径測定に供与。(0分)

■使用機器

■測定条件

  • 撮像時間 60秒
  • 繰り返し回数 3回
  • カメラレベル 13
  • 検出スレッシュホールド 4
  • シリンジポンプ速度 20

測定結果

遠心によって粒子が沈降していくこと、また、D90の値が最も変化が大きいことから、粗大粒子の沈降が進行していることがわかりました。

また、粒子濃度に関しては、遠心後のほうが高くなっていました。これは遠心前には粗大粒子が強い光で散乱し、小さな粒子の散乱光を隠してしまっていましたが、粗大粒子の沈降によって、弱く散乱する微小な粒子が検出できるようになったと考えられます。

ナノサイトでは動的光散乱法同様に測定原理上、粒子径が球相当で示されるため、CNTをはじめとする高アスペクト比の粒子では、粒子径は正確なCNTの長さとは異なりますが、濃度情報については、遠心処理後のサンプル成分中の粒子濃度としてみていただくことができます。

ANJP190612NTACarbonNanoTube1.jpg

図1. 遠心による、粒子径・粒子個数濃度の変化

ANJP190612NTACarbonNanoTube2.jpg

図2. 遠心による粒子径分布グラフと散乱の様子の変化

使用した機器

■サンプルの処理

小型超遠心機CS-150NX(卓上式)

  • 最高回転速度150,000rpm
  • 最大遠心加速度1,050,000xg
  • コンパクトなボディに世界トップクラスの性能。

■粒子径・濃度の測定

ナノトラッキング粒子径測定装置 ナノサイト

  • 粒子の散乱像が目視できる
  • 個数基準の粒度分布が得られる
  • 粒子濃度が算出できる

ANJP190612NTACarbonNanoTube3.jpg

ナノトラッキング法(NTA法)について

ナノサイトでは粒子が放つ散乱光をsCMOSカメラで捕らえ、レーザは液中を水平に進み、レーザの光が直接カメラに届かず、粒子由来の散乱光のみを捕らえます。 カメラで捕らえた散乱光は粒子のブラウン運動により時間的に位置を変えるため、その軌跡を解析することで粒子の移動距離を示す平均二乗変位を得ます。 得られた平均二乗変位から、ストークスアインシュタインの式で、粒子径を算出します。

まとめ

ナノトラッキング法は従来、粗大粒子が多く含まれるサンプルは粗大粒子の散乱光の情報が大きく入り込み、1次粒子を安定して検出することが難しいとされてきましたが、遠心によって粗大粒子を除去し、安定したデータを取ることができました。 遠心による夾雑物の除去、単層CNT(SWNTs) などの構成成分の分離などを行った場合の処理状態を確認し、濃度を算出する簡便な手段としても利用することが可能です。

引用文献

himac application No.129 (2008年)
himac application No.150 (2010年)

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