MicroCal ITCワークショップ2021を開催します!


ITCユーザー様をメインとしたオンライン「ITCワークショップ2021」を開催します。


セミナー詳細
内容:MicroCal ITCワークショップ2021

日時:2021年9月10日(金)
時間:9:30 ~17:00
定員:午前の部、午後の部 各150名ずつ
開催方法:WEBセミナー


セミナースケジュール

【午前の部】初心者、初級者向け

午前の部では、ITC基礎ウェブセミナーの録画を流し、各セミナー後にでLiveの質疑応答の時間を設けます。

9:30-9:35ワークショップ開催挨拶と午前の部の流れ
9:35-10:35基礎ウェブセミナー(前編)録画 + Q&A
10:35-10:40休憩
10:40-11:40基礎ウェブセミナー(後編)録画 + Q&A
11:40-12:00医薬品開発受託サービス、Concept Life Science(CLS)のご案内

【午後の部】経験者向け

本ワークショップでは招待講演として、東京大学大学院 津本 浩平先生と、千葉工業大学 坂本 泰一先生をお招きし、「最新のITC活用事例」についてご講演いただきます。

また、技術担当者による、「信頼できるデータを取得するために重要なシステムのメンテナンス」についてのセッションや、既存でありながら、意外と周知されていないアドバンスツール(SIM、ConCatなど)のご紹介などを予定しています。

13:10-13:15午後の部の流れ
13:15-14:15

招待講演① モダリティ創薬研究におけるITC
東京大学大学院 教授 津本 浩平 先生

14:15-14:30休憩
14:30-15:30:00

招待講演② アプタマー研究におけるITC
千葉工業大学 教授 坂本 泰一 先生

15:30-15:40休憩
15:40-16:25メンテナンスセッション
16:25-16:50アドバンスツールのご案内
16:50-17:00クロージング

東京大学大学院 津本 浩平先生 講演概要

モダリティ創薬研究におけるITC

90年代以降、サイトカインや抗体などの蛋白質医薬がアンメット領域を中心に急速に発展しました。近年では、アンチセンス核酸を始めとした核酸医薬、CAR-T等の細胞医薬、そして再生医療の研究開発がさかんです。標的の生物学に的確に対応した創薬モダリティの選択肢が提案され、その幅も広がっています。

疾患関連分子を標的とする創薬では、その分子に関する記述が重要になります。次に、その知見をもとにした創薬には、精緻なターゲットバリデーションが重要です。その際、モノクローナル抗体を調製し解析することが多く、場合によっては、この抗体分子そのものが治療薬あるいは診断薬として開発対象になる場合もあります。抗体の標的分子への結合様式を精査することにより、標的分子の特性を理解するだけでなく、低分子あるいは中分子創薬における標的部位を実際に見出せる場合も少なくありません。これらの研究にITCがとても重要な役割を果たしています。

次世代抗体医薬品開発の進展も顕著です。抗体をいわゆる薬物送達のツールとして用い、薬剤を標的部位に送達させるAntibody-Drug Conjugate(ADC)の開発が一定の成果を収めているほか、がん免疫療法の位置づけが著しく向上し新しい段階に入っていること、さらには血友病治療薬としてのBispecific抗体の上市など次世代抗体開発もいよいよ本格化しています。 以上のように、モダリティ創薬において抗体工学研究は新しい段階を迎えています。そのための基盤となる技術開発研究もますます重要な位置づけになってきています。標的親和性の向上、VHH抗体の活用、二重特異性抗体の開発等はその一例でしょう。これらの研究開発において、ITCは不可欠なものになっている、といっても過言ではありません。本講演では、以上に関する最近の状況を、我々の研究成果も含め紹介し、今後を議論します。

ご略歴
1991年東京大学工学部工業化学科卒業。同大学院工学系研究科化学生命工学専攻にて博士(工学)取得。

東北大学大学院工学研究科、東京大学大学院新領域創成科学研究科を経て、現在、東京大学大学院工学系研究科教授、同医科学研究所教授、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所創薬デザイン研究センター長。

主な受賞として、日本生化学会奨励賞、日本学術振興会賞等


千葉工業大学 坂本 泰一先生 講演概要

アプタマー研究におけるITC

近年,創薬モダリティとして核酸医薬品が注目されている.様々な核酸医薬品がある中で,私は,タンパク質を標的としたアプタマー医薬品に興味を持ち,研究をおこなってきている.アプタマーは,Systematic Evolution of Ligands with EXponetial enrichment (SELEX)法という進化分子工学的な手法によって得られる核酸分子であり,抗体医薬品と同様に標的タンパク質の立体構造を認識して結合する.その結合能については,解離定数が数pM以下になるものもあり,私は,なぜアプタマーが非常に高い結合能をもつのか明らかにしたいと考えた. また,核酸分子,特にRNAは血中で分解されやすいため,アプタマーを医薬品とする際には,アプタマーを化学的に修飾する必要がある.現在は,経験に基づいて化学修飾し,活性が保持されているか試行錯誤がおこなわれている.低分子の医薬品の開発のように,アプタマー創薬においても,立体構造および物理化学的情報に基づいて化学修飾を行うことができるようになれば,アプタマー創薬の効率が飛躍的に上がると思われる. 

本講演では,主にRNAアプタマーと標的タンパク質の相互作用解析の研究例を紹介する.私たちは,柔軟な構造を持つアプタマーが,標的タンパク質の分子表面にフィットすることによって,非常に高い結合能と特異性を有していると考えており,ITC実験はそれを強く示唆していると考えている.また,試料の調製からITC実験,特に強い結合の解析に必要な競合法などの実験手法についても紹介したい.この講演を通して,ITCの有用性と発展性について議論したいと考えている.

ご略歴
1997年 横浜国立大学大学院 博士(工学)
1997年 三菱化学生命科学研究所 特別研究員
1998年 千葉工業大学 研究員 2002年 東京大学医科学研究所 産学官連携研究員
2004年 千葉工業大学 工学部 講師 2016年 千葉工業大学 先進工学部 教授 現在に至る
2010年 Conformational plasticity of RNA for target recognition as revealed by the 2.15 Å crystal structure of a human IgG-aptamer complex, Nucleic Acids Res. Featured Article.
2013年 Solution structure of a DNA mimicking motif of an RNA aptamer against transcription factor AML1 Runt domain, J. Biochem.論文賞


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