粒子径

サブナノメートルからミリメートルの粒度分布を分析

粒子径

粒子径の定義と基本的な知識

粒子径とは、粒子の形態情報の中で、粒子の大きさを何らかの方法で定義した一次元の数値、すなわち「長さ」の次元で表現したものです。

規則的な形状の粒子であれば、粒子径は直径や半径などの単一の値で定義することができます。しかし、不規則な形状の粒子であれば、粒子径を複数の値で定義する必要があります。

粒子径の定義には、以下の基準があります。

  • 投影面積基準:粒子の投影面積と同じ面積を持つ円の直径を粒子径とする。
  • 体積基準:粒子の体積と同じ体積を持つ球の直径を粒子径とする。
  • 沈降速度基準:粒子と同じ沈降速度を持つ球の直径を粒子径とする。
  • ふるい基準:粒子と同じふるいのメッシュサイズを通過する球の直径を粒子径とする。

この「粒子径の定義」について気になることは、「どの粒子径が正しいか」という議論ですが、結論から言えば、どの粒子径も正しいです。

なぜなら、粒子径とは必要とされる指標・目的に応じて、定義づけされるべきものだからです。

粒子径は、粒子の物理的な特性や性能に影響を与えます。例えば、粒子径が小さいほど、粒子の体積当たりの表面積(比表面積)が大きくなり、一般に化学反応や吸着などの反応速度が速くなります。

[Particle size analyzer_jp.png] Particle size analyzer_jp.png 粒子径_粒度分布 マルバーン・パナリティカル製品一覧

ミクロン粒子とナノ粒子

ミクロン粒子とは?

ミクロン粒子とは、一般には粒子径がミクロンオーダーのものを指します。ミクロンは1000分の1ミリメートルなので、ミクロン粒子の粒子径は、1ミリメートルの1000分の1程度の範囲に相当します。

ミクロン粒子は、体積当たりの表面積(比表面積)が大きくなるため、一般に化学反応や吸着などの反応速度が速くなります。

ミクロン粒子とナノ粒子の違い

ミクロン粒子とナノ粒子の違いは、粒子径の範囲です。

ミクロン粒子とは、一般には粒子径が1マイクロメートル~数マイクロメートル程度のものを指します。一方、ナノ粒子とは、一般に粒子径が100nm以下のものを指します。

つまり、ミクロン粒子とナノ粒子は、粒子径の範囲が一桁程度だけ異なるだけです。しかし、この違いによって、粒子の物理的な特性や性能が大きく異なります。

ナノ粒子は、ミクロン粒子と比べて、以下の点で異なる特性を持っています。

  • 比表面積が大きくなる

粒子径が小さくなるほど、体積当たりの表面積(比表面積)は大きくなります。そのため、ナノ粒子は、ミクロン粒子と比べて、さらに比表面積が非常に大きくなります。

  • 粒子径の大きさとその重要性

粒子径の大きさは、以下の点で重要です。

  • 粒子の分散性や流動性に影響を与える

粒子径が小さいほど、表面力などの相互作用の影響が相対的に大きくなるため、分散性や流動性が悪くなり、付着性が増します。

  • 粒子の化学反応や吸着の反応速度に影響を与える

粒子径が小さいほど、粒子の比表面積が大きくなるため、化学反応や吸着の反応速度が速くなります。

  • 粒子の触媒としての性能に影響を与える

粒子径が小さいほど、粒子の比表面積が大きくなるため、触媒としての性能が向上します。

このように、粒子径の大きさは、粒子の物理的な特性や性能に大きな影響を与えます。そのため、粒子径は、さまざまな分野で重要な指標として用いられています。

※上記の傾向は一般的な傾向を述べたものであり、材料特性(組成・結晶性・表面改質)、粒子形状・凝集状態、分散媒・濃度・界面条件、測定法・評価条件などによって例外や程度差が生じます。実際の適用可否や効果の大小は、目的や条件に応じて個別に評価する必要があります。

粒子径の測定方法と分析

粒子径を測定し、粒子径が製品およびプロセスに及ぼす影響を理解することは、多くの製造会社にとって成功するために不可欠と言えます。 Malvern Panalyticalは、サブナノメートルからミリメートルまでのあらゆる種類の粒度解析と特性評価のための優れた機器を提供します。

弊社の粒度分析装置の比較

粒径範囲*
0.1nm
1nm
10nm
100nm
1µm
10µm
100µm
1mm
10mm

小角X線散乱法 1nm ~ 100nm

 
 
 
 
 
 
 

動的光散乱 <1nm ~ >1µm

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

自動画像処理 <1µm ~ >3mm

 
 
 
 

X線沈降 0.1µm ~ 300 µm

 
 
 
 
 

通気性 0.5µm ~ 75µm

 
 
 
 
 
 

*すべての粒径範囲はサンプルによって異なります。
**粒径範囲はサンプルおよびセンサーによって異なります。

粒子径分布とは?

粒度分布とは、粒子の大きさの分布を示すもので、通常は粒子の直径を横軸、頻度を縦軸に取ったヒストグラムとして表現されます。粒子径は、粒子の長さ、幅、高さなどの3次元の寸法の1つです。粒子は、球形や立方体などの規則的な形状を持つものもあれば、不規則な形状を持つものもあります。粒子径分布は、どの粒子径の粒子が「何個」ずつ含まれているかの分布を示す「個数基準粒子径分布」や、どの粒子径の粒子が、どれだけの体積割合で含まれているかを示す「体積基準粒子径分布」などがあります。同じサンプルでも、これらの表記の仕方によって、粒子径分布グラフは大きく異なります。このため、以下に述べる粒子径分布のパラメータも、粒子径分布の基準ごとに異なった値となります。

粒子径分布は、粒子の物理的な特性や性能に影響を与えます。例えば、粒子径が小さいほど、粒子の体積当たりの表面積(比表面積)が大きくなり、化学反応や吸着などの反応速度が速くなります。付着力が高まり、流動性が悪くなります。

平均径

平均径とは、粒子の大きさを代表する値です。平均径にはいくつかの計算方法があり、個数を基準にした平均と体積を基準にした平均では値が異なります。個数基準の平均径は、次の式で求められます。

平均径 = ∑ (粒子径 * 粒子数) / 粒子数

ここでは、粒子径は、粒子の直径を表します。

粒子数は、粒子の個数を表します。粒子数を粒子体積に置き換えれば、体積基準の平均径となります。

メディアン径(中央値)

個数基準のメディアン径(中央値)とは、その値を境に、それより大きい粒子の個数と小さい粒子の個数が半分ずつになる粒子径を示す指標です。体積基準のメディアン径は、その値を境に、それより大きい粒子の体積割合と小さい粒子の体積割合が半分ずつになる粒子径を示す指標です。

メディアン径は、粒子径分布の累積分布関数が 0.5 となる粒子径です。

モード径(最頻値)

モード径(最頻値)とは、粒子径分布において粒子径の出現頻度が最も高い粒子径を示す指標です。実際には、粒子径分布のヒストグラムで最も高いピークに対応する粒子径として求めます。

分布幅

分布幅は、以下の方法で評価することができます。

  • 標準偏差

粒子径分布から標準偏差を計算することで、分布幅を評価することができます。標準偏差は、粒子径分布のばらつき(離散の程度)を表す指標です。一般に、平均からの偏差の二乗の平均(分散)の平方根として定義されます。標準偏差が大きいほど、分布幅が広くなります。

  • 分散

分散は、標準偏差の2乗で表されます。分散は、粒子径分布の平均からの偏差(平均値からのずれ)の二乗の平均を表す指標です。分散が大きいほど、分布幅が広くなります。

  • D10、D50、D90

粒子径分布の累積分布関数の 10%、50%、90% の値を D10、D50、D90 と呼びます。

D10 は、粒子径が D10 以下の粒子の割合が 10% となる粒子径です。
D50 は、粒子径が D50 以下の粒子の割合が 50% となる粒子径で、メディアン径とも呼ばれます。
D90 は、粒子径が D90 以下の粒子の割合が 90% となる粒子径です。

D10 と D90 の差は、粒子径分布の広さを表す指標として用いられます。個数基準と体積基準でこれらの値は異なり、個数基準のときは、Dn10、Dn50、Dn90、体積基準のときはDv10、Dv50、Dv90というように、区別して記述します。

※なお、標準偏差や分散などの統計的な評価指標は、使用するソフトウェアでは評価パラメータとして採用されない場合があります。

粒子径が各分野の製品品質に与える影響

粒子径は、製品品質にさまざまな影響を与えます。

影響 詳細
物理的な特性 粒子径は、粒子の物理的特性に影響を与える要因の一つです。例えば、粒子径が小さい場合、一般に体積当たりの表面積(比表面積)が大きくなるため、化学反応や吸着などの速度が高くなる傾向があります。ただし、反応機構や表面状態、拡散・濡れ性、凝集状態など他の条件によって結果は異なることがあります。
性能 粒子径は、製品の性能に影響し得る要素の一つです。例えば、塗料では粒子径が小さいほど塗膜が均一になりやすく、結果として耐久性や耐候性が向上する場合があります。一方で、処方や硬化条件によっては必ずしも向上しないこともあります。 食品では、粒子径が小さいほど口当たりが滑らかになり、消化されやすい傾向がありますが、原料や加工条件、マトリクスの性状によって変わる可能性があります。
安全性 粒子径は、製品の安全性に影響を及ぼし得ます。例えば、粉末状の薬品や材料で粒子径が過度に小さい場合、吸入曝露のリスクが高まる傾向が指摘されます。ただし、リスクは粒子の濃度、曝露時間、素材特性、プロセス条件、吸入防護の有無などにも左右されます。
具体例 粒子径が製品品質に与える影響の具体例をいくつか挙げます。
  • 塗料
    塗料の粒子径が小さいほど、塗膜が均一になり、塗膜の耐久性や耐候性が向上します。また、塗料の粒子径が大きいほど、塗膜の厚みが増し、塗膜の耐摩耗性や耐傷性が向上します。ただし、結合剤の種類、顔料/充填材の種類と比率、分散状態、基材との相互作用、塗装条件によって最適粒子径は変わります。
  • 食品
    食品の粒子径が小さいほど、口当たりが滑らかになり、消化しやすくなります。また、食品の粒子径が大きいほど、歯ごたえが増します。ただし、原料組成、加工プロセス、含水率、温度、ゲル化や乳化状態などで体感は大きく変わります。
  • 医薬品
    医薬品の粒子径が小さいほど、溶解速度が速くなり、吸収率が高まる傾向があります。ただし、薬効は吸収率だけでなく薬物動態や薬理作用にも依存します。また、粒子径が大きい方が一般に物理的・化学的に安定ですが、製剤技術によって安定性は調整可能です。
  • 化粧品
    化粧品では、粒子径が小さいほど肌になじみやすく、浸透性が高まる傾向があり、期待される効果を発揮しやすくなります。ただし、実際の浸透や効果は、成分特性(親水・親油性、荷電、分子サイズ)や処方、皮膚バリアの状態、塗布条件などにも左右されます。
このように、粒子径は製品品質にさまざまな影響を与えるため、製品の設計や製造において、粒子径の制御が重要となります。

粒子径の測定・応用事例(アプリケーションノート)

産業や学会で現在使用されている主な粒子特性評価技術の基礎を学んでいただけます。

レーザ回折法の測定原理の説明からマスターサイザーシリーズ測定時の注意点などを詳しく記載しています。

動的光散乱法の測定原理の説明からゼータサイザーシリーズ測定時の注意点などを詳しく記載しています。

一部で話題の粒子画像解析法やレーザ回折式粒子径分析など、各種の粒子計測技術を中心に、粉体食品の開発から工程管理まで幅広い情報をご紹介しています。

粒子分析機器の正しい使い方について説明しています。

カーボンブラック粉末の非水系ゼータ電位測定について説明しています。

医薬品添加剤の特性評価について説明しています。

積層製造のための金属粉末の粒子のサイズと形状の特性評価について説明しています。

この紹介では、コロイド系のゼータ電位に焦点を当てます。

ゼータ電位、粒子径、レオロジーの重要性について説明しています。

モノクローナル抗体の特

Spraytec

スプレー粒子径リアルタイム分析装置

特徴としては以下が挙げられます

  • サイズ範囲: 0.1 - 2000µm
  • レーザー回折
Spraytec
ゼータサイザーアドバンスシリーズ

ゼータサイザーアドバンスシリーズ

あらゆる用途に対応する光散乱装置

レーザー回折式粒子径分布測定装置 マスターサイザー製品

レーザー回折式粒子径分布測定装置 マスターサイザー製品

世界で最も人気のある粒子径分析装置

全自動、画像式粒度分布測定装置モフォロギシリーズ

全自動、画像式粒度分布測定装置モフォロギシリーズ

次次世代型を見据えた画像式粒度分布測定装置です。数万個以上の大量の粒子観察画像から、全自動で粒子径と形状を処理し、統計的に有意な分析結果を提供します。

Spraytec

Spraytec

スプレー粒子径リアルタイム分析装置

ナノサイトシリーズ

ナノサイトシリーズ

粒子の視覚化、ナノ粒子、粒子数濃度の測定

インシテックシリーズ

インシテックシリーズ

オンラインプロセス粒子径分析装置

測定タイプ
粒子形状
粒子径