レーザー回折・散乱法(LD)
ナノメートルからミリメートルサイズまでの粒子径分布(粒度分布)測定技術
ナノメートルからミリメートルサイズまでの粒子径分布(粒度分布)測定技術
レーザー回折・散乱法(以下、レーザー回折法)は、工業分野で最もよく利用されている粒子径分布(粒度分布)測定技術です。 このページでは、レーザ回折法の特長・原理等、基礎について学んでいただけます。
レーザー回折法は、粒子にレーザー光を照射し、粒子のサイズによって異なる角度に回折・散乱される光を測定することで、粒子径分布を算出する測定手法です。
サンプリング操作が容易で、広い粒子径レンジを短時間で測定できることから、研究用途だけでなく、製造・品質管理用途においても広く利用されています。
レーザー回折法は、簡便な操作で粒子径分布を測定でき、広い粒子径レンジを分析できること、また再現性の良い結果が得られることが大きな特長です。そのため、日常的な測定や品質管理用途に適しています。
一方で、レーザー回折法では、一度に粒子集団全体を分析するため、分解能は高くありません。分解能とは、サイズの異なる粒子が混在している場合に、それぞれの粒子径を個別に識別できる能力を指します。また、光散乱を用いる測定原理の特性上、粒子径を真の値に近い形で求める「正確性」は高くありません。
そのため、レーザー回折法は以下のような用途に適した粒子径測定手法といえます。
• 簡便なサンプリング操作が求められる粒子径測定
• 広い粒子径レンジが必要な粒子径測定
• 高い再現性を求められる粒子径測定
一方で、分解能や正確性を重視する測定には適していません。
粒子径分布とは、試料中に含まれる粒子の大きさがどのように分布しているかを表したものです。
レーザー回折法では、測定された散乱光の角度依存性(散乱パターン)を、理論的に計算された散乱パターンと比較することで、粒子径分布を求めます。
レーザー回折法では、粒子径は体積相当球の直径として報告されます。粒子径分布の考え方は、製造条件の管理や品質評価に直結するため、工業分野で重要な指標となっています。
▶ 粒度分布の詳細についてはこちら。
レーザー回折・散乱法(以下、レーザー回折法)では、気中または液中で試料粒子を分散し、そこにレーザー光を照射して、粒子によって散乱される光の強度の角度依存性を測定します。
粒子が大きい場合は小さい角度に強い散乱が生じ、粒子が小さい場合はより大きな角度にも散乱光が分布します。
さまざまな角度における散乱光強度データから散乱パターンを求め、これをFraunhofer回折とMie散乱理論モデルで計算された散乱パターンと比較することで、粒子径分布を算出します。
ナノサイズの粒子径を簡単に測定したい場合は、動的光散乱法(DLS)が適しています。
一方、粒子の形状情報を含めて数値化したい場合には、画像解析式粒子径分布測定法が有効です。
分解能や正確性を重視する場合は、画像解析式粒子径(粒度)・形状分析を行うモフォロギシリーズをご検討ください。
乾式測定では、サンプルを気中に分散して測定します。液体を使用しないため準備が簡便で、凝集した粒子をそのまま測定したい場合にも有効です。圧縮空気を用いた分散機構により、凝集を分散した状態での測定も可能です。
湿式測定では、懸濁液やエマルジョンなどの試料を液体の分散媒中に分散し、フローセル内を循環させて測定します。超音波プローブを用いて凝集粒子をほぐすことで、一次粒子の測定が可能になります。
レーザー回折法では、測定時に試料粒子の屈折率と吸収率、分散媒の屈折率を入力します。
これらのパラメーターは、Mie散乱理論を用いた理論的散乱パターンの計算に必要です。
特に数µm以下の小さな粒子では、入力する屈折率によって粒子径分布(粒度分布)が大きく変化します。一方、50µmより大きい粒子では、屈折率の影響は小さくなります。このような場合には、Fraunhofer回折理論を用いることも可能です。
レーザー回折・散乱法の原理説明から、マスターサイザー測定時の注意点まで解説した粒子計測セミナーの学習コンテンツをご紹介します。
レーザー回折テクノロジーは、粒子径分布測定の汎用性、精度、効率性が高いため、さまざまな業界で幅広い用途に使用されています。
ここでは、Mastersizer、Spraytec、Insitecのような製品を含むレーザ回折が重要な役割を果たす、主要な分野をいくつか紹介します。
製薬業界では、Mastersizerのようなレーザー回折分析装置が薬剤の微粒子、賦形剤、製剤の特性評価に使用されています。
粒子径分布を精密に制御し、医薬品の均一性と安定性を確保します。
さらに、Spraytecのような装置は、吸入薬物送達システムのスプレー粒子径分布の測定に使用されており、エアロゾルパフォーマンスと薬物送達効率を最適化しています。
レーザー回折テクノロジーは、ポリマー、顔料、触媒などのさまざまな粒子材料の分析に利用されています。
Mastersizerのような装置は、粒子径分布と表面積に関する貴重な洞察を提供し、品質管理とプロセス最適化に役立っています。
さらに、Insitec製品の分析装置は、化学製造プロセスでリアルタイムの粒子径モニタリングを提供しており、製品の一貫性を確保し、廃棄物を最小限に抑えています。
食品および飲料業界では、レーザー回折分析装置が、成分、添加物、粉末の分析において重要な役割を果たしています。
Mastersizerシリーズは、小麦粉、砂糖、スパイスなどの食品成分の粒子径分布の評価に使用されており、食品の望ましい食感を実現しています。
同様に、Spraytec分析装置は、エマルションとサスペンションの粒子径分布の特性評価に使用されており、製品の安定性と保存期間を最適化しています。
MastersizerやInsitecのような装置は、粒子状汚染物質、エアロゾル、堆積物分析用の環境モニタリングアプリケーションに使用されています。
これらの分析装置は、空気と水の品質評価、粒子力学の研究、汚染物質が生態系に与える影響の理解に役立つ貴重なデータを提供します。
Insitec製品のような装置のリアルタイムモニタリング機能により、環境汚染物質に対して早期介入と管理が可能になります。
さまざまな研究分野において、Mastersizer、Spraytec、Insitecのようなレーザ回折分析装置は、粒子径分布、形態、凝集挙動を研究するための有用なツールとして機能します。
材料科学、ナノテクノロジー、コロイド化学などの分野における基礎研究に役立ち、イノベーションと発見を推進しています。
これらの装置の柔軟性と精度により、研究者は新しいアプリケーションを探求し、科学的知識の限界を押し上げることができます。
製造プロセスや工業プロセスでは、レーザー回折テクノロジーは、粒子径パラメータをリアルタイムでモニタリングして制御するために使用されています。Insitecシリーズのような装置は、継続的な粒子径分布測定を提供し、オペレータがプロセス効率を最適化し、製品品質を確保して、廃棄物と生産コストを最小限に抑えられるようにします。Mastersizer分析装置とSpraytec分析装置は、オフラインの粒子径分布測定用の堅牢なソリューションを提供し、さまざまな業界においてプロセスの最適化をサポートしています。
迅速で信頼性の高い粒子径分布測定を提供することで、Mastersizer、Spraytec、Insitecのような製品を含むレーザ回折テクノロジーは、多様な業界に革命をもたらし続けることで、製品開発、品質保証、科学研究の進歩を実現しています。