深田先生コラム 一歩進んだカロリメトリー その3 プロトンが関与する相互作用のエンタルピー変化

相互作用において、プロトン解離基のpKが変わり、プロトンの出入りを伴うことがあります。この場合、それに共役したバッファー成分のプロトン出入りが起こります。プロトン出入りのエンタルピー変化はバッファーごとに異なります。

したがって、バッファーが異なれば、同じpHでサンプルを測定しても、観測される熱量変化が異なり、異なったエンタルピー変化が得られることになります。

バッファーのプロトン出入りの熱量を排除した、相互作用による真のエンタルピー変化を求めたい場合、同じpH の異なるバッファーでターゲットサンプルを測定し、それぞれのエンタルピー変化を求めます。

横軸にバッファー成分のプロトン解離エンタルピー変化ΔHionを、縦軸に各バッファー成分で測定したエンタルピー変化ΔHobsをプロットした図を作成します。横軸ΔHionの値が「0(ゼロ)」になるときのΔHobsがバッファーのプロトン解離エンタルピーを排除した、真の相互作用エンタルピー変化になります。ところで、この直線の傾きが相互作用により系に取り込まれる(すなわち、バッファー成分から解離する)プロトン数を与えます。一方、プロトン数を別の方法で決定しておけば、一種類のバッファーで測定するのみで真のエンタルピー変化を得ることができます。



ΔHion : バッファー成分のもつ プロト解離エンタルピー変化
ΔHobs : 各バッファー成分で測定した 測定値エンタルピー変化

ΔHionの値が「0」のときのΔHobsの値
がバッファーのプロトン解離エンタルピーを排除した値


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