深田先生コラム 一歩進んだカロリメトリー その2 コントロールデータは本当に コントロールになっている?

コントロールデータは、通常、溶媒(バッファー)に対してリガンドを滴定する方法(セル中にサンプル分子のみがない条件)で得られます。これを希釈熱測定とも呼んでいます。セル中で起こる熱イベントを考えてみましょう。
蛋白質とリガンドの反応で観測された反応熱Qobsdには、結合熱Qbind以外にリガンドの希釈熱Qdil L、蛋白質の希釈熱Qdil P、溶媒同士を混合したときの熱量Qmixなどが含まれます。
測定中は一定速度で撹拌しているため撹拌熱が生じますが、これはベースラインに含まれます。セルに入っている蛋白質溶液にバッファーを滴下して得られる希釈熱は希釈倍率が小さいのでほとんどの場合無視できます。
したがって、通常、希釈熱Qobsddilという場合はリガンドの希釈熱を指します。
また、溶媒同士の混合熱は反応の場合も希釈熱測定の場合も常に含まれますので、リガンドの希釈熱測定をコントロールとして差し引く場合は同時に差し引かれることになります。
もしも、蛋白質の希釈熱測定とリガンドの希釈熱測定の両方を差し引いた場合は、溶媒の混合熱が引かれ過ぎていますからそれを足さなければなりません。
さらに、反応に伴ってプロトンの出入りがあればそれに付随するバッファーの共役反応(バッファーの定義そのものですね)の熱量Qbufferも含まれます。
蛋白質とリガンドの反応で観測された反応熱Qobsdには、結合熱Qbind以外にリガンドの希釈熱Qdil L、蛋白質の希釈熱Qdil P、溶媒同士を混合したときの熱量Qmixなどが含まれます。
測定中は一定速度で撹拌しているため撹拌熱が生じますが、これはベースラインに含まれます。セルに入っている蛋白質溶液にバッファーを滴下して得られる希釈熱は希釈倍率が小さいのでほとんどの場合無視できます。
したがって、通常、希釈熱Qobsddilという場合はリガンドの希釈熱を指します。
また、溶媒同士の混合熱は反応の場合も希釈熱測定の場合も常に含まれますので、リガンドの希釈熱測定をコントロールとして差し引く場合は同時に差し引かれることになります。
もしも、蛋白質の希釈熱測定とリガンドの希釈熱測定の両方を差し引いた場合は、溶媒の混合熱が引かれ過ぎていますからそれを足さなければなりません。
さらに、反応に伴ってプロトンの出入りがあればそれに付随するバッファーの共役反応(バッファーの定義そのものですね)の熱量Qbufferも含まれます。
Qobsd=Qbind+Qdil L+Qdil P+Qmix+Qbuffer
Qobsddil=Qdil+Qmix
(通常、Qdil Pはほとんど0。プロトン出入りがなければQbuffer=0)
Qobsddil=Qdil+Qmix
(通常、Qdil Pはほとんど0。プロトン出入りがなければQbuffer=0)
これらの補正すべき熱イベントは、いずれも、他の測定方法では全く考慮する必要のないものです。熱測定の際には、観測データには何が含まれるか常に注意して欲しいと思います。
あらゆる状態変化は熱変化を伴います。カロリメトリーは非特異的な測定法であると言われる所以です。それを逆手にとれば何でも測定できる方法になるため、古くから利用されてきています。分子レベルから個体、生態系に至るまで、それぞれに適したカロリメーターが開発されています。
あらゆる状態変化は熱変化を伴います。カロリメトリーは非特異的な測定法であると言われる所以です。それを逆手にとれば何でも測定できる方法になるため、古くから利用されてきています。分子レベルから個体、生態系に至るまで、それぞれに適したカロリメーターが開発されています。
正確な補正をするため、通常、蛋白質は透析し、透析外液を溶媒としてコントロール測定(希釈熱測定)に用います。リガンドが蛋白質の場合は、セル中に入れる蛋白質とシリンジに入れる蛋白質を同時に透析します。低分子や透析できないリガンドは透析外液を使用して調製します。
プロトン解離基がある場合は必ずpHをチェックして下さい。もしもpHが異なれば厳密に合わせるようにして下さい。このようにして測定すればコントロールデータを差し引くことにより滴定データが解析できるようになります。
プロトン解離基がある場合は必ずpHをチェックして下さい。もしもpHが異なれば厳密に合わせるようにして下さい。このようにして測定すればコントロールデータを差し引くことにより滴定データが解析できるようになります。
多くの場合、補正すべき希釈熱はわずかです。
ところで、希釈熱を差し引いても滴定が終了していると思われる点で熱量がゼロにならないことがあります。希釈熱測定において、大きな熱量が観測されたり、滴定が進んで行くと熱量が次第に小さくなるといった濃度依存性が大きい場合にはそのようなことが起こりがちです。
サンプルの解離会合系が混在していないか、セル内とシリンジ内が正確に同じ溶媒か、など、希釈熱測定が正確にコントロールになっているかどうか、特に、希釈熱が大きい場合は何か特別なことが起こっていないかよく見極めることが大切です。
最後に、希釈熱測定は厳密な意味でコントロール実験になっているのか考えてみましょう。反応1回ごとの測定であれば希釈熱は正しく差し引かれます。
一方、ITCのように連続して滴定を行う方法ではどうなのでしょうか。セルへ入れたサンプルに対してリガンド溶液を滴定した場合とバッファーに対してリガンド溶液を滴定した場合との違いは、2回目以降の滴定ではセル中に入っているリガンドが遊離状態のみではないことです。コントロールとして差し引きするためには、複合体を形成したリガンドが遊離の状態と同じ性質を持つことが前提になります。
この前提が正しければ問題ないのですが、その保証があるわけではなく、そのように取り扱う方法しかないというのが正直なところだと思います。
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