分子間相互作用解析ワークショップを開催、当日の動画配信を開始しました。

オンラインセミナー「GCIとITC技術とのコラボレーションによる多角的解析の実践」を開催しました!
セミナー概要

  • 内容:分子間相互作用解析ワークショップ~GCIとITC技術とのコラボレーションによる多角的解析の実践~
  • 日時:2023年5月26日(金)
  • 時間:13:00 ~15:30
  • 定員:100名
  • 開催方法:WEBセミナー

セミナー内容

分子間相互作用解析において、GCI、ITCによる多角的解析方法と重要性について理解を深めていただくとともに、DLS、分光学的手法を活用した測定技術のヒントとなる情報をお伝えするオンライン・ワークショップをWAVE(GCI)の国内販売代理店プライムテック株式会社(東京都文京区)と共同開催いたしました。
ワークショップでは、東京大学大学院理学系研究科の奥田哲弘先生をお招きし、多角的解析を活用したご研究についてのご講演をいただきました。

 

プログラム

13:00-13:50分子間相互作用解析技術のご紹介
1. 分子間相互作用解析における新規測定手法GCI法のご紹介
 プライムテック㈱ 齊藤拓哉氏
2. 溶液中での分子間相互作用解析 ITC(等温滴定型カロリメトリ―)のご紹介
 スペクトリス㈱ マルバーン・パナリティカル事業部 廣瀬雅子
13:50-14:50GCIとITC技術とコラボレーションによる多角的解析の実践
~植物ペプチドホルモンと共役受容体の同定~

東京大学 大学院理学系研究科 奥田哲弘 先生 
14:50-15:05動的光散乱法(DLS)による、相互作用解析前のスクリーニングについてのご紹介
スペクトリス㈱ マルバーン・パナリティカル事業部 松尾亮太郎
15:05-15:20分光学的手法を用いた革新的なタンパク質の特性評価ツールのご紹介
プライムテック㈱ 齊藤拓哉氏
15:20-15:30質疑

東京大学 大学院理学系研究科 奥田哲弘 先生 講演概要

GCIとITC技術とコラボレーションによる多角的解析の実践
~植物ペプチドホルモンと共役受容体の同定~

着生した環境に制限される植物は独自の膜局在性受容体様キナーゼを数多く保持し、様々な外界のシグナルを受容することで環境に適応する。そして植物ペプチドホルモンはシグナル伝達物質の1つとして、植物の生長や発達など様々な面で重要な役割を果たしている。しかし受容体-ペプチドリガンドの組み合わせが同定され、その分子作用機序が明らかになっているものは多くない。

本講演では、GCI・ITC技術と立体構造解析を基盤とした生化学的スクリーニングによるペプチドリガンドと共役受容体の同定と、新たに見いだされた受容体-ペプチドリガンドの結合様式について紹介する。

略歴

2020年5月 – 現在 東京大学 大学院理学系研究科 助教

2019年5月 – 2020年4月 ジュネーブ大学 理学部 スタッフサイエンティスト

2016年5月 – 2019年4月 ヒューマンフロンティアサイエンスプログラム 博士研究員

2015年6月 – 2016年4月 ジュネーブ大学 理学部 博士研究員

2013年4月 – 2015年5月 日本学術振興会 特別研究員PD

2010年4月 – 2013年3月 日本学術振興会 特別研究員

2008年4月 – 2013年3月 名古屋大学 大学院理学研究科 生命理学専攻

2004年4月 – 2008年3月 名古屋大学 理学部 生命理学科

【専門分野】

植物生理学、細胞生物学、生化学、構造生物学

【主な受賞】

2013年3月 第3回日本学術振興会育志賞 日本学術振興会

2012年7月 名古屋大学学術奨励賞 名古屋大学

2010年3月 名古屋大学大学院理学研究科顕彰 名古屋大学大学院理学研究科

2009年11月 名古屋大学グローバルCOEシステム生命科学研究若手顕彰

2009年9月 日本植物形態学会平瀬賞 日本植物形態学会

2009年6月 日本細胞生物学会若手最優秀発表賞 日本細胞生物学会

2008年9月 日本植物形態学会最優秀ポスター賞 日本植物形態学会

【所属学会】

日本生化学会、日本細胞生物学会、日本植物生理学会、日本植物形態学会、日本植物学会

その他プログラムの詳細

分子間相互作用解析における新規測定手法GCI法のご紹介

分子間相互作用解析の手法として表面プラズモン共鳴法(SPR)やバイオレイヤー干渉法(BLI)は幅広い測定に用いられてきました。

一方で、依然として課題があるため、それらを克服する新規手法が求められております。WAVEは、ラベルフリーサンプルのリアルタイム・カイネティクス測定を高感度、高速で行うことのできる分子間相互作用解析システムです。

独自のグレーティング結合干渉法(GCI)、頑健なマイクロ流体工学および優れたソフトウェアにより、従来技術では測定が困難であったサンプルにおける課題を克服しました。

Creoptixの独自技術GCIについて原理や特徴をご紹介いたします。

溶液中での分子間相互作用解析 ITC(等温滴定型カロリメトリ―)のご紹介

本セッションでは、ITCの測定原理と代表的な測定事例のご紹介に加え、分子間相互作用解析を多角的に評価することの重要性を説明します。

1つ前のセッションで紹介するGCI(グレーティング結合干渉法)は結合と解離の”速さ”から結合の”強さ”を求めるのに対し、ITCは、溶液中の分子の相互作用によって生じる”熱量変化”から”強さ”を評価します。

いずれの測定でも、結合の”強さ”を求めることは共通しています。ですが、それ以外に得られるパラメータ、情報は異なっています。このように、「分子間相互作用」という共通の現象を「多角的」に評価する重要性は何でしょうか?こちらについて、考えていただくきっかけとなれば幸いです。

動的光散乱法(DLS)による、相互作用解析前のスクリーニングについてのご紹介

タンパク質・抗体などを多目的に評価する手法の1つとして分子間相互作用の解析は重要です。

この解析結果をより有効にするためには、測定に用いるサンプルの凝集状態・分散性を事前に確認しておくことは重要ではないかと考えました。サンプルが不安定な系で凝集状態を含んだ場合での相互作用を見ているのか、安定な系での相互作用を見ているのかを確認することは分子間相互作用の解析の向上にもつながります。

本セッションでは、DLSの簡単な原理の説明と、DLSの結果が異なる場合での分子間相互作用の解析結果をご紹介します。今後の皆様の研究に少しでも役立てれば幸いです。

分光学的手法を用いた革新的なタンパク質の特性評価ツールのご紹介

RedShiftBio社製AQS3pro及びApolloは分光学的手法による特性解析により、タンパク質の品質管理をサポートするツールです。

これまでの分光学的手法を用いたタンパク質の特性評価ツールではバッファー環境や水の影響がクリティカルであり、克服すべき課題でした。本ツールはその課題を克服し、高解像度かつ自動化された解析方法によりラベルフリーでタンパク質の特性評価を可能にしました。この革新的な特性解析の原理やアプリケーション事例についてご紹介いたします。