琉球大学農学部の木村匠准教授に、マルバーン・パナリティカルの粒子画像分析装置モフォロギをご活用いただいた経緯や、使ってみてわかった装置の魅力をお話いただきました。
琉球大学農学部の木村匠准教授は農業土木の専門家です。ご研究の全体の目的は、地球環境に優しい持続的な農業およびライフスタイルを確立するため、安全・快適で合理的な農村環境の創造(整備)をし、整備した環境(宅地,農地,道路,施設等)を地すべりなどの災害から守ることです。特に、木村先生の研究のご興味のひとつには、農地の地盤の性質を土の粒子のミクロな性質を調べることで、地すべりなどのマクロな事象との関係性を検討することだそうです。
これまでの研究に用いてきた粒子特性を評価するための分析法は、古典的な篩、比重計、沈降法などでしたが、さらに粒子評価を精密化して、より多くの情報を用いて検証を行いたいと常々考えておられたそうです。これは、土、堆積物、土壌中を構成する粒子について、粒子径や形状といった情報を精密に評価することで、土の強度特性や透水性に及ぼす影響についてより多くの知見が得られるためです。
その目的のために各種技術を模索されていましたが、共同研究者からの紹介でマルバーン・パナリティカルの粒子画像分析装置「モフォロギ」をお知りになり、この装置技術を用いて各種の粒子分析に関する研究を開始されました。
特にはじめに注目された点は、高精度の粒子画像を全自動で取得可能であること、個数基準粒度分布で評価でき、細粒部の感度も高いことでした。
粒子の多角的分析が可能であり、粒子数が多数取得できることも魅力と感じるようになったそうです。現在、特に注目されているパラメータは円相当径と円形度だそうですが、他のパラメータも機会があれば考察に入れたい、とのことでした。
土壌試料にはさまざまな「状態」のものが多くあるそうです。たとえば、海底の砂や堆積物には塩分が含まれていますし、農地の土には有機物が多くあります。このような場合、できるだけそのままで測定する、あるいは、前処理方法にたくさんの選択肢があったほうがよく、その点ではモフォロギの持つ測定への柔軟な手法提案(たとえば湿式、乾式両方選択可能、など)は大変重宝したとのことでした。
木村先生は、モフォロギのもうひとつの利点を指摘されています。それは、分析容量を少なくできること、そして静置型であるため、必要であれば回収も可能ということです。実は、土壌や地質学の研究に用いる試料は、深海や深い山奥といった採集が困難な場所から得られたものが少なくありません。したがって、非常に貴重で少量の試料を多くの分析法にまわしたいという要望が多くあるため、非常に魅力のある点だとおっしゃっていただけました。
副次的なことではありますが、テーマに直接かかわる事例のみならず、他のテーマでの測定法への展開などの発想を刺激し、知的好奇心をくすぐるという側面もあったとコメントも頂きました。
木村先生は、上記のように粒子画像分析装置モフォロギを駆使され、その結果、土壌や堆積物の粒子径分布においてその差異を粒子形状の視点から明らかにすることができたとのことでした。その研究成果の一部はすでに論文にまとめられています。
このように、研究の成果を着実にだされている木村先生ですが、装置の性能のみならず、弊社の分析技術者とのディスカッション、サポートが非常に重要だったとおっしゃっていただけました。
このような声を聞くとやはり私たちもよりよいサポートを提供することで、装置を使っていただくだけではなく、ユーザー様の成果をお手伝いできることが実感でき、勉強になりました。ご協力いただいた木村先生に厚く御礼申し上げます。
| お話を伺ったのは: 琉球大学農学部
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