カロリメーターマスターへの道 Vol.2等温滴定型カロリメーター iTC200を使ってみよう!

ここに登場する人物とストーリーはフィクションです。
テクニカルに関する内容に関しましては、大阪府立大学客員研究員 深田先生にご助言をいただいております。

※この記事の最後では資料をダウンロードいただけます。

【前回までのお話】
丸番製薬の仲村さんは、上司の田中さんからの指示でカロリメーターを立ち上げることになりました。
インターフェックスで配布された資料やウェブ情報を確認し、少しずつ興味を持つようになりましたが、実際の使い方やどのような情報が得られるかについては手探りの状態です。
いざiTC200を使おうと思っても手元にマニュアルがないため、まずはメーカーに問い合わせてマニュアルをもらうところから始めました。

【今回のお話】
仲村さんは無事、マニュアルを取り寄せることができました。
なお、マニュアルお取寄せ時には使用中のソフトウェアによって内容が異なるため、シリアル番号が必要となります。

シリアル番号の確認方法はブログ下部のダウンロードボタンよりダウンロードいただけます。
 
 お!マルバーンから返事が来たぞ!
 
 
仲村さんは早速マニュアルを一通り確認し、測定をする前に手順をまとめてみました。
そして、久しぶりに使用するため、マニュアルに記載のある『システムチェック』を実施することにしました。
システムチェックはサンプルの代わりに超純水をセルと滴定シリンジに充填して実施します。システムが正確に稼動しているかを確認するために、定期的に実施することをお勧めしています。
 
 操作手順はこんなものかしらね。よし、やってみよう!
電源入れてっと・・・・
パラメータは準備されている「Water.inj」を開けばいいのね。
ファイル名をつける場合は、頭文字は必ずアルファベットで、英数字で10文字以内に収める、と。
次に、リファレンスに超純水を入れる、か。それにしても、この水、いつ変えたんだろう?
プラグを外して、中の水を出して・・・一応洗っておこうかな。
ガスタイトシリンジに水を350 μl充填して、ゆっくりリファレンスセルに挿入。
底にぶつけないように注意して、、底についたらちょっと持ち上げて、ゆっくり充填すると入口から水があふれてくる、と。
水を出し入れして、シリンジが上下に動いてやりにくいなぁ、、溶液を全部吸い上げて、、2、3回繰り返してみよう。
よし、いよいよ測定用に充填するぞ!気泡が入らないように気をつけるんだよね。
でも、内側が見えないから、気泡があるかないかなんて、正直分からないよなぁ。とりあえず、マニュアルに従ってやってみよう。
こうして仲村さんはリファレンスセルの超純水の交換を完了しました。続いてサンプルセルと滴定シリンジの洗浄もマニュアルに従って実施しました。
iTC200は、Washing moduleが備えられており、コントロールソフトウェアから、サンプルセルと滴定シリンジの洗浄をコントロールすることができます。
そこで1つトラブルが生じました。洗浄用の水が滴定シリンジに流れないのです!仲村さん、パニックです!?
 え!何でシリンジに水が流れないの!? 水、入ってるよね。
どこか詰まってるのかな・・・故障!? 嘘でしょう・・・!?
 
実はこのようなトラブルのお問合せ、結構多いんです。理由がいくつか考えられるので、ひとつずつ、可能性をつぶしていくしかありません。

このようなお問合せをいただきましたら、『MicroCal iTC200 滴定シリンジに洗浄水が流れないときの対応方法』(以下ダウンロードボタンよりダウンロードいただけます)というファイルをお送りさせていただいております。
ガイダンスに従ってトラブル箇所がどこにあるかをご判断いただくことができます。
今回、仲村さんの場合、滴定シリンジにひびが入っていることがわかりました。
こちらの主な原因は、フィルポートアダプターを滴定シリンジの穴に強くねじ込みすぎたことによります。
初めてご使用になる方は、是非、経験者の方にコツを確認するようにしてください。

 
「滴定シリンジと垂直方向にフィルポートアダプターを挿入し、きつく閉めない。フィルポートアダプターが自然に止まるところで閉める。」がポイントです。
滴定シリンジのスペアパーツのカタログ番号はSYA020835です。
 
滴定シリンジの交換方法もウェブ上で公開しています。
 
なお、こちらのムービーではプランジャーチップの交換方法についてご案内しています。その操作に伴い、滴定シリンジの交換を行っております。
滴定シリンジを交換する際は、併せてプランジャーチップも交換することをお勧めいたします。
 
よし、滴定シリンジとプランジャーチップの交換も無事済んだぞ!洗浄もOK!次は滴定シリンジに水を充填ね。

この操作はシステムのガイダンスに従えばよいから大丈夫、と、、あれ?プランジャーチップと液面の間に空気が残ってしまっているわ。
マニュアルによると、その場合は再充填しなくてはならないのね。

 
仲村さんはマニュアルの指示に従ってサンプルを充填しなおそうとしました。しかしながら、なかなかうまくいきません。
おそらく、フィルポートアダプターを滴定シリンジの穴に挿入する際、過去にひびが入ってしまった経験から、不安で、今度は閉め不足になってしまったようです。
初めのうちはご心配かと思いますが、慣れてしまえば難しいことはありません。繰り返しになりますが、
「垂直方向にフィルポートアダプターを挿入し、きつく閉めない。フィルポートアダプターが自然に止まるところで閉める。」がポイントです。
なお、気泡が残ったまま測定すると、空気をプランジャーが押すことになり、正確に滴定が行えなくなります。
小さい気泡がプランジャーチップと液面の界面にある場合は問題ありませんが、プランジャーチップと液面に空気の層ができてしまっている場合は、必ずサンプルを充填しなおしてください。

 
気泡も抜けたし、これで測定の準備は完了。Start!! あれ?シリンジが回っていない。何でだろう、、、。

モニターにはCells Heating To 30℃って出ている。測定温度はちゃんと30℃にしていたけど、システムの温度の変更を忘れてた!?

 
仲村さん、大事なところを設定し忘れていましたね。システムを立ち上げたらすぐに、測定したい温度にシステムを設定することが重要です。

通常は室温前後で測定をしますが、温度を変えて測定する必要がある場合は特に注意してください。
iTC200 Main WindowInstrument Controls タブをクリックし、Set Point(℃)で、待機中のジャケットの制御温度を測定温度に設定します。
測定温度を入力し、Set Jacket Temp をクリックします。現在の温度は、Real Time Plotタブで確認します。

 
 
お、シリンジ回り始めたぞ。これで大丈夫ね。ちょっと休憩してこようっと。
 
 

そして15分後・・・・・

 
あれ、DPは5 μcal/secに設定したのに、ベースラインの開始点が6.2 μcal/secになってる。
マニュアルには「1 μcal/sec 以上大きい場合には、リファレンスセルの超純水を入れ替えます」って書いてある。
リファレンスセルに空気が残っていたのかしら、、でも外からは見えないし、、、。とにかく入れ替えるか。

 
仲村さんは測定をいったんストップさせてリファレンスセルの超純水を入れ替えました。でもDPは6.2 μcal/secのままです。
仲村さん、またまたパニックです!?
そこに上司の田中さんがやってきました。
 
 調子はどうですか?仲村さん。
 
田中さん。一難去ってまた一難です。早々に深田先生のところにお伺いしてきたいのですが・・・
 
是非行って来てください。期待してますよ。
 

そう言って、田中さんは去っていってしまいました。

 
期待って、、、とにかく質問内容をまとめて深田先生のところに弟子入りさせていただこう!
 
こうして、仲村さんは今回起こったトラブルと、確認しておきたいことを予めまとめて深田先生のところに赴くことになりました。

 
 
シリアル番号の確認方法「MicroCal iTC200滴定シリンジに洗浄水が流れないときの対応方法」はダウンロードボタンからダウンロードいただけます。

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