DSCを用いたバイオ医薬品開発向上のための抗体Fab領域の安定性の調査

このアプリケーションノートでは、示差走査型カロリメトリーを使用して各種ヒト抗体またはヒト化抗体の熱安定性を調べ、タンパク質の発現と品質に対する安定性の影響を観察する方法について説明します。

はじめに

治療用抗体や遺伝子組換えをした抗体断片の開発にとって、安定性は極めて重要な課題です。 安定性が低いことは、さまざまな細胞で抗体の発現レベルに影響を受ける可能性や、ところどころに抗体が機能をもたなかったり、正しくフォールディングされない可能性、経時的にサイズが大きくなり、免疫抗原性をもつタンパク質の凝集が起こる可能性があります。

抗体や抗体様タンパク質は、疾患に対する人の臨床試験に入る分子種が実質的に大幅に増えてきています。 抗体はL鎖とH鎖で構成されるヘテロ四量体です。 定常領域(CHおよびCL鎖)は、抗体のアイソタイプとサブクラスによって決まる不変のアミノ酸配列です。 一方、抗体の可変領域はきわめて多様性に富み、高い特異性、および親和性を備え、ありとあらゆる外来抗原を認識できます。 可変領域の多様性は、H鎖の可変領域(VH)とL鎖の可変領域(VL、κ、またはλ)の組み合わせと、可変および定常領域間のさまざまなリンカー配列、高浸透圧変異から得られたものです。 可変領域の多様性は、抗体間での安定性の変化をも起こしえます。

完全長の抗体に関する安定性のデータはこれまでそれほど充実していませんでした。これはおそらく、抗体が複雑なマルチドメインタンパク質であるためと考えられます。 ここでは示差操作型カロリメトリーを用いて、17個のヒトまたはヒト化IgG1およびIgG4抗体のドメインごとのアンフォールディング特性を調べました。 これには、多発性硬化症の治療で臨床的に実証されているTysabri™、フェーズIまたはIIの試験を実施している7つの分子、2007年にFDAによって治験薬(IND)として承認された4つの分子、研究中の6つの分子が含まれています。 このデータセットは抗体創薬に携わる研究者が、与えられた抗体に対して熱安定性が課題になりうるかどうかを理解するための抗体開発リファレンスガイドとして用いることができます。

このアプリケーションノートの2つめのパートでは、特に不安定な抗体に安定性をもたらすためのプロセスについて説明します。 安定化変異の組み合わせで、DSCで測定したFabのTm値は92℃でした。 安定化は大腸菌での抗体フラグメントの機能発現を大幅に向上させました。

実験の方法

この実験では既出の方法に従って行いました(1,2)。 DSC測定では、マルバーンMicroCal VP-Capillary DSCシステムを使用しました。

図1: (A)BIIB7 IgG1のDSCデータ カーブの上にあるのは、完全長ヒトIgG1抗体の構造です(13)。 (B)4個のヒトlgGサブクラスのDSCデータ Elsevierの許可を得て(1)の転載。
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図2: (A)4個のヒトまたはヒト化IgG1抗体(BIIB16、BIIB6、BIIB4、BIIB1)のDSCデータ (B)IgG1およびIgG4のBIIB7抗体のDSCデータ Elsevierの許可を得て(1)の転載。
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MRK2053-01_fig02b

18個のヒトまたはヒト化lgG抗体のFab安定性評価

抗体の定常領域はほぼ同一で、類似したサブクラスのIgGの安定性はFv領域の違いによって異なります。 ヒト、またはヒト化抗体のIgG Fab安定性の範囲を評価するため、18個の完全長ヒト(またはヒト化)抗体(BIIB1~18)を使用してDSC測定を実施しました。 Fab転移のCPmax<1>max</1>値(DSCピークの高さ)は通常、CH2またはCH3ドメインの値の約3倍でした(図1AのBIIB7のDSCデータ参照)。 4個のヒトIgGサブクラスのDSCデータを図1Bに示しています。IgG1は、明らかにFc安定性が最も高いことがわかります。 アンフォールディング中に起こった凝集はDSCで測定したFabのTm値に影響します(3,4)。そのためそれぞれの抗体に対し、同一の条件下でDSC測定を行いました。得られた情報は、各ドメイン毎の安定性の相対的測定値とみなされました。

BIIB1-18のFab転移では、Fv領域の違いにより相対的な熱安定性が大幅に異なっていました。 図2AのDSCカーブは、Fv領域の違いがFabアンフォールディングの挙動にどのように影響しているのかを示しています。 18個のBIIB抗体のFab Tm値の範囲は57.2°C~81.6°Cでした(表1)。 最も低いFab Tm値を持つ3個の抗体(BIIB15~17)は、Fabが複数のアンフォールディング転移を示していました。このことはアンフォールディングの協同性のバランスが崩れたことを示唆しています。(BIIB16のDSC曲線については図2Aを参照)。 これらの抗体のFabピークは2つの転移に分かれていました。 低い方の転移温度を表1に示しています。 2番目の転移は、CH1/CLのアンフォールディングを示している可能性があります。これは、74°C(BIIB15)、72°C(BIIB16)、70°C(BIIB17)のTm値でした。

表1:DSCのBIIB IgG Fabの Tm
IgGFab Tm(°C)VHサブクラスVKサブクラス
BIIB181.6VH1VK1
BIIB278.5VH1VK1
BIIB378.2VH1VK2
BIIB477.7VH3VK2
BIIB577.1VH4VK1
BIIB676.8VH3VK1
BIIB775.9VH1VK3
BIIB875.6VH1VK1
BIIB974.7VH3VK4
BIIB1074.7VH4VK1
BIIB1173.1VH1VK4
BIIB1271.2VH1VK4
BIIB1370.8VH3VK4
BIIB1470.6VH7VK-
BIIB1568.5VH3VK1
BIIB1668.0VH3VK3
BIIB1757.2VH3VK2
BIIB18-*VH3VK2
* 発現せず。
異常なκ、germlineは未確定。
Elsevierの許可を得て(1)から転載。

サイズ排除クロマトグラフィーで決定した最良のヘテロ四量体タンパク質でDSC測定を行いましたが、最もFab安定性が低い抗体BIIB17の発現は低く、2°C~8°Cの溶液に1週間以上放置したところ、高分子量の凝集物が生じました。 各IgG1のCH2とCH3のアンフォールディング転移が正確に一致しました(代表的なDSCデータを図2Aに示す)。 3つのIgG4のCH2とCH3の転移にも同様の結果が得られました(データ未記載)。

BIIB7は、IgG1とIgG4型の両方を準備しました。 IgG1およびIgG4のCH1配列には、10個のアミノ酸の違い(6個は保存)があり、またCLには異なるジスルフィド結合パターンがあります。 ピークのデコンボリューション処理後、IgG1およびIgG4型のBIIB7のFab Tm値は類似していました(ΔTm < 1°C、図2B)。 この類似性は、IgG1とIgG4の間のFab熱安定性を直接比較できることを示唆しています。

安定性を向上させるためのFab残基の改変

相同タンパク質の配列で見つかっている、レアアミノ酸からコンセンサスアミノ酸への変異導入は、タンパク質を安定化させる共通デザインとして知られています。 このため、DSCで測定した通り、安定性の低いヒト化BIIB抗体は、最大レベルのレアアミノ酸をフレームワークに持っていると思われます。 抗体、および抗体フラグメントの安定化戦略を開発する取り組みにおいて、われわれは不安定なFabを選び、Fabの安定性を向上させるための変異を導入しました。 まず、破傷風トキソイド(αTT)を認識する、ヒトに由来するFabから開始しました(5)。 ランダムに45個のアミノ酸残基を選びました。 この包括的な変異体導入実験の詳細は(2)に記載されています。

図3 最も安定なFabであるV11を含む野生型αTT Fabと様々な変異を含む12個全てのFabのDSC解析 各カーブの詳細は表2のΔTmで確認できます。 Oxford University Pressの許可を得て(2)から転載。
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表2 バクテリア発現と機能向上をもたらし、高い安定性をもつFab変異を導く熱安定化変異
FabHC変異体LC変異体ΔTm*(DSC)ΔexpressΔMidpoint(μg/ml)
WT--0.01.0±0.463.0
V1V1 V11L、S77T、F89I-5.02.325.0
V2V11L、S77T、T72N、A84L、F89I、G118AD9L、N22S、W50A、N152G7.92.08.9
V3S77T、T72N、A84L、F89I、G118AD9L、N22S、W50A7.83.83.5
V4V11L、S77T、F89IN22S、W50A5.33.226.0
V5V11L、S77T、F89TN22S、W50A3.92.650.0
V6V11L、S77T、F89IN22S、W50H6.71.713.0
V7S77T、G127AD9L、N22S、W50A2.41.925.0
V8V11L、S77T、T72N、A84P、F89I、G118AD9L、N22S、W50A、N152G8.93.910.0
V9V11L、S77T、F89TW50A4.33.520.0
V10V11L、S77T、T72N、A84P、F89I、G118AD9L、W50A、N152G9.73.37.1
V11V11L、S77T、T72N、A84P、F89I、G118A、G24AD9L、N22S、W50H、N152G13.33.0±0.34.0
V12V11L、S77T、T72N、A84P、F89I、G118AD9L、W50H、N152G11.12.62.8
* WT Tm = 78.7°C、スキャンレート = 1.0°C/min
WT αTT Fabで大腸菌発現レベルを1.0にノーマライズした結果、3回の培養における平均発現収量は0.56 ± 0.20 mg/l culture。 2回発現したV11の標準誤差も
V11の2回の発現における標準偏差。
ビオチン化破傷風トキソイドのELISA飽和曲線の中点におけるFab濃度。 Oxford University Pressの許可を得て(2)から転載。

αTT Fabライブラリの変異体および熱安定性スクリーニング

45種類の変異体PCRをそれぞれ形質転換し、4500近くのコロニーをピックアップ後、96-wellプレートで培養しました。 Fabを含む上清は、70°C、72°C、74°Cの3つの温度で加熱しました(2)。 熱安定性が向上した変異体は、性質を確認するため熱安定性スクリーニングを繰り返し実施しました。

安定化変異体のリストは(2)に示されています。 ライブラリ内のおよそ1%の変異体で熱安定性の向上が見られました。 「ヒット」したうちの14個がVHドメインに変異があり、残りの4個はVLドメインにありました。 このことは、天然のFabの安定性はVHの局所的な安定性によって制限されることを示唆しています。 驚くべきことに、2000程度の定常領域に変異が入ったライブラリーでは、Fab全体を安定化させる変異体は見つかりませんでした。 我々の推測では、定常領域内の安定化変異は実際に起きてはいるものの、VHドメインの局所的な安定性がFabのアンフォールドの温度を抑制したため、安定化が起きているようには見えなかった、ということです。(下記のDSC実験を参照)。

CL/CH1ドメイン内で安定化変異体を見つけられなかったことのもう1つの説明として、高温条件下におけるアンフォールディングの時間として、10分は不十分であったため、定常領域を完全にアンフォールドできなかったのではないかということです。 Röthlisbergerと共同研究者は、CL/CH1ヘテロダイマーのアンフォールディングが極端に遅く(6)、4つのすべてのFabドメインの安定性がこの動的安定化の恩恵を受けたことを発見しました。 そのため、比較的短時間の熱負荷では定常領域がアンフォールドしなかったものと考えられます。

安定VH変異体の多くが全体的なコンセンサスに一致しませんでしたが、その大半が他のVHのgermlineのサブクラスの少なくとも1つ以上でコンセンサスが一致しました(2)。 たとえば、αTT VH内の72番目のアミノ酸は、Asnへの変異によって最適化されました。 すべてのgermlineのVHサブファミリーのコンセンサスの残基は等配電子アミノ酸のアスパラギン酸です。 72番目の残基の配列を確認したところ、意外なことにアスパラギン酸に置き換わっていないことがわかりました。 また、89番目のバリンがほとんどのヒトVHサブファミリーで保存されていても、Valへの変異導入はFab安定性を向上させませんでした。 等配電子VH2の共通アミノ酸残基であるスレオニンは、スクリーニングで、高い安定性を保っていました(ΔTm > 2°C)。 同様にベータ分岐したイソロイシンは、スクリーニングで見つかった中で最も安定している変異体の1つであり、ヒトVH配列のこの位置ではごくまれにしか見つからないものですが、ほかのどのVHサブクラスの共通残基でもありません。

4個の安定化変異体がαTT VLドメイン内で見つかりました。 VK4の残基、トリプトファン50をアラニン(VK1の共通残基)またはヒスチジンの変異を入れると、きわめて高いレベルで安定化されました。 ヒスチジンはヒトκ可変領域の50番目の残基でごくにまれにしか見つかりませんが、ヒトλ可変領域ではしばしば見つかります。 この残基は、VH/VLドメイン付近にあります。 我々はFab安定化の寄与はVHドメインの潜在的な強化に関連しているのではないか、という仮説を立てました。なぜなら、特にVHドメインがαTT Fabの安定性に制限を与えているように見えるためです(2)。 しかしながら、単離されたVLドメインは、それとは逆の現象を示しています(データ未記載)。 この位置におけるチロシンからヒスチジンへの変異は、ジスルフィドがないscFvの見掛け上の安定性と発現を改善することが報告されています(7)。 したがって、VLフレームワーク2でC末端末にある、50番目残基に大きな芳香族グループが現れることは
あらゆるケースでFv安定性に不利となりました。

αTT Fabの安定化変異の組み合わせ結果

初期スクリーニングで同定された、3~11の安定化変異を含む12個のコンストラクトが準備されました(表2)。 さまざまな変異のコンビネーションが、Fabの安定化をもたらすそれぞれの変異体の明らかな寄与を決定することにより、合理的に解明されました。

興味深いことに、αTT Fabへの複数の安定化変異を導入することで、形質転換並びに発現実験でFabの発現量が増加しました。 最もよかったコンストラクトは一貫して、野生型の3倍以上に発現量が増加しました。 各Fabの安定性は、DSC(図3)および円偏光二色性(CD)(データ未記載)で評価しました。 DSCとCDスキャンは一般的に非可逆的であり、測定後に溶液は沈殿を生じました。 Fabが凝集したため、見えているTm値を用いてFabの安定性をランクづけしました。

4個全てのドメインが分子内、および分子間でジスルフィド結合で完全につながっている場合、それらのドメインの共役したアンフォールディングは、Fabの一般的な特徴ではないものの、共通していました(1,3,6,8,9)。 個別のドメインの内在的な安定性が大幅に異なることによる、マルチドメインタンパク質のアンフォールディング反応の脱共役は珍しいことではなく、ドメイン相互の全般的な親和性とドメイン間の相互作用表面の総和で決まります(10、11)。 Fabの一部が欠損している場合、残りのドメインのアンフォールディングは共役されない場合があります。 RoweおよびTanfordの発表によれば、VLとCLがH鎖に付いておらず、分離された
ドメインとしてアンフォールドしている場合、κL鎖内のVLとCLが脱共役して変性しているように見えます(12)。 また、協同性ではH鎖との別のコンタクトが必要となります。 Röthlisbergerと共同研究者は最近、網羅的かつ簡潔な実験を行った結果について報告しています。そこでは、異なる安定性をもつ可変領域が、互いに独立してどのようにアンフォールドできるかを示しています。同時に、同じような高い安定性を持つ可変領域がFabの4個すべてのドメインのアンフォールディング転移を一体化することができます(6)。 ここで記載している、最も安定化したFabコンストラクト(Tm = 92°C)は、同時に可変領域の熱アンフォールディング反応を脱共役させるぎりぎりのポイントにあるように見えます。

各変異のそれぞれの安定性への寄与をデコンボリューションするために、12個全てのFab変異体のTm値を使用しました。 Fabの1次配列でも、3次構造であっても、これらの残基のいくつかは互いに近接していますが、全ての変異はFabの安定性の付加に寄与していると思われます。 今回の解析は、4つの変異がFab安定化の最大86%を占めていることを示していました。 VHドメイン内のG24A、T72N、F89Iの変異が、FabコンストラクトのTmをそれぞれ3.0°C、2.8°C、2.8°C上げました。 VLドメイン内のW50Hの変異は、Fabの熱安定性を3.5°C上げました。

Fabの熱安定性とE.coliで発現した機能タンパク質の分画との相関

フレームワークの変異に続いて考慮すべき重要な点は、これがαTT Fabの抗原結合部位の機能に与えるかもしれない潜在的な影響でした。 熱安定化変異は、CLドメインとCH1のC末端にあるHisタグを検出する定量的ELISAを用いたオリジナルスクリーンから得られました。 多くの場合、Fvドメインのダイナミクスが抗原結合に大きな影響を与える可能性があるといわれています。 我々が懸念していたのは、Fvフレームワークドメインに導入された安定化変異が、抗原のドッキングのダイナミックバランスを崩しかねないことでした。

熱安定化変異は、E. coliで発現した分子の機能を下げず、実際には機能的ELISAのaTTFabの親和性が向上しました(表2)。 別々に調製した2つの野生型Fabは機能的ELISAで抗原に対し同じように滴定されませんでした。これは細胞培養中の小さなばらつきが、機能をもつFab発現の量をわずかに抑制する可能性があることを示唆しています。 いずれの野生型の調製量において、機能をもつタンパク質の収量は、ほとんどの安定化aTTFabコンストラクトよりも少なかったです。 各Fab変異体の機能をもつ発現量は、Tmで示された安定性と直接相関しているように見えます(図4)。 変異が予測される結合ループから離れていると、これらの残基が抗原との相互作用を直接向上させる可能性は低いと考えられます。

野生型aTTFabの挙動から、E. coliから分泌されたFabフラグメントは、機能を持っていないか、またはミスフォールドしていると考えています。 この解釈は、E.coliで分泌され、単離されたVLドメインが、BL21trxB(DE3)の酸化細胞質環境下で発現したVLと全く異なったコンフォメーションをしていた事実と相関しています(結果は未記載)。 このことは、Fab生成物のバッチ間で機能的なばらつきが見られたことの説明にもなります。

図4 各Fabにおける、Tm値と機能的ELISAのシグモイド曲線の中点濃度の比較プロット Oxford University Pressの許可を得て(2)から転載。
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概要

18個のヒトまたはヒト化抗体の熱によるアンフォールディングプロファイルをDSCで測定したところ、広範囲に渡るFabの安定性が明らかになりました。 コンセンサスデザインを使用し、特に不安定なFabの安定性を図るために、網羅的に変異体を調製しました。 熱負荷アッセイを用いたFabライブラリーのスクリーニングにより、Fabの11か所に19個の安定化変異が見つかりました。 安定化変異の組み合わせにより、熱安定性が最高92°Cまで向上し、バクテリアの発現が増え、ミスフォールディングや、機能を持たない試料が大幅に減りました。 DSCは、抗体の安定性に寄与するファクターを迅速に判別できます。また、DSCはバイオ医薬品開発全般に適用可能な、価値のある安定情報性を呈示する測定技術です。

謝辞

このアプリケーションノートのはStephen J Demarest、Ellen Garber、Gang Chen、Bruce E.Kimmel、David Gustafson、Jane Wu、Jared Salbato、John Poland、Marikka Elia、Xuqiu Tan、Ken Wong、Jay M.Short、Geneviève Hansen(Biogen Idec、カリフォルニア州サンディエゴ)によって執筆されました。    

参考文献

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