ナノ粒子の濃度を測定するにはDLS法?NTA/PTA法のどちらが最適?

ナノ粒子トラッキング法NanoSight Proと動的光散乱法のZetasizer Ultraで濃度測定をそれぞれ比較

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お客様からよくいただくご質問の1つに、「粒子濃度を測定するには、NanoSight ProとZetasizer Advance Ultraのどちらを使えばいいのですか?」というものがあります。このご質問に対する答えは、「それは、測定するサンプルの特性や目的によって異なります」。

このようなご質問が多い背景には、一見すると両機種の違いがわかりにくいという点があるかもしれません。実際、ZetasizerとNanoSightはどちらも光散乱現象とブラウン運動を利用して液中の粒子を測定して、流体力学的粒子径を測定しているからです。しかし、粒子濃度測定の原理は全く異なります。

両装置とも、粒子濃度は「particles/mL(1mLあたりの粒子数)」で表示されますが、粒子サイズ分布や多分散性に対する適応性には違いがあります。この記事では、NanoSight ProとZetasizer Advance Ultraの違いをわかりやすく比較し、測定対象に最適な選択ができるようご案内します。

ナノ粒子トラッキング法 (NTA/PTA法) NanoSight Proは粒子をリアルタイムで可視化・定量化

NanoSight Proはナノ粒子トラッキング解析法(NTA/PTA)を用いて、既知の撮像容積内にある粒子の動きを直接観察し、粒子径と粒子濃度を計測します。

  • 対応粒子サイズ:直径約30〜500 nm(※下限値は粒子の屈折率に依存)
  • 最適な濃度範囲:10⁷〜10⁹ 個/mL

NanoSight Proは、撮像された粒子から直接濃度を算出するため、散乱光が暗い粒子も明るい粒子も同様に1粒の粒子として計測できる特徴があります。

動的光散乱法(DLS法)Zetasizer Advance Ultraは、ナノ粒子のマルチパラメーター分析が可能

Zetasizer Advance Ultraは、動的光散乱法(DLS)を用いて、ナノ粒子のサイズ・電位・濃度などをマルチパラメーターで解析できる装置です。

  • 対応粒子サイズ:直径1nm〜数μm
  • 濃度測定の原理:測定された粒子径と散乱強度から濃度を演算

DLS法では、粒子のサイズ分布が広い(多分散性が高い)場合、測定精度が低下する可能性があります。これは、粒子径の異なる集団が混在していると、散乱強度の重なりにより個別の濃度推定が難しくなるためです。

さらに、DLS法では試料の粘度が濃度算出に影響します。粘度は拡散係数の算出に使用され、それが粒子径や濃度の計算に反映されるためです。

一方、NanoSight Proでは濃度は実測に基づくカウントであり、粘度の影響を受けません。したがって、粘度が不明または変動しやすい試料にはNanoSight Proが有利です。

(以下元訳

Zetasizer Advance Ultraで粒子濃度測定を行う場合、多分散性は測定結果に大きく影響を与えます。これは、動的光散乱法の場合、測定された粒子径から濃度が算出されるため、多分散性が隣接する2つのピーク粒子径精度に影響を与える可能性があるからです。一方、Zetasizer Advance Ultraの場合、測定範囲がNanoSight Proより広い範囲のため、直径 1 nmの粒子も容易に測定できます。

試料の粘度も、動的光散乱法で測定する場合は注意すべき点となります。粘度は、どちらの測定技術においても測定された拡散係数から流体力学的粒子径を決定するために使用されます。動的光散乱法の場合、粒子濃度は粒子径から算出されるため、試料の粘度が影響を与えます。一方、ナノ粒子トラッキング法の場合は、試料の粘度から独立して粒子濃度を測定するため、粘度の影響は受けません。)

ナノ粒子トラッキング法?それとも動的光散乱法?

それぞれの測定原理や特性を理解して、分析ニーズにあった装置を選ぶことが重要です。

特徴NanoSight ProZetasizer Advance Ultra
測定原理ナノ粒子トラッキング法(NTAまたはPTA)多角度動的光散乱法 (MADLS)
測定範囲10 nm~ 1000 nm0.3 nm~10 μm
濃度測定可能:リアルタイム可視化機能付き可能:バルクサンプル平均化により可能
その他測定項目蛍光検出ゼータ電位、分子量
主な用途エクソソーム
脂質ナノ粒子
ウイルス> 50 nm (例:レンチウイルス)
ナノバブル (ウルトラファインバブル)
タンパク質
脂質ナノ粒子
ウイルス > 20 nm (
例:AAV)
コロイド粒子
単分散ナノ粒子

ナノ粒子トラッキング法 NanoSight Proが最適な場合

  • 高解像度で個々の粒子を可視化する必要がある場合
  • ナノ粒子のサイズと濃度を同時に測定する場合
  • エクソソームやレンチウイルス、MVAなど大型ウイルスや、異種粒子が混在するサンプルを取り扱う場合
  • 蛍光検出によるサブポピュレーションの解析が必要な場合

動的光散乱法 Zetasizer Advanceが最適な場合

  • 微粒子、タンパク質、ポリマーなど
  • 多種多様なサンプルで幅広い測定範囲が必要な場合
  • 粒子サイズ、ゼータ電位、分子量といった複数の測定項目を1台で測定したい場合

日々の分析をサポートします

精製リポソーム、ポリスチレンラテックス、その他、単分散ナノ粒子など多くの一般的な用途ではどちらの装置もお使いいただけます。そして同じ濃度測定結果が得られる可能性があります。ナノ粒子濃度をトラッキングするのに最適な装置は、医薬品開発の段階や精製レベルによって異なります。これは、サンプルの特性が初期研究から開発工程、そして最終医薬品に至るまで変化するためです。このような場合、NanoSight ProとZetasizerの両方を同じラボで運用することが非常に重要です。

どの装置が測定ニーズに最適かご不明な場合は、マルバーン・パナリティカルまでお問い合わせください。

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