小角X線散乱法(SAXS)

ナノ材料分析アプリケーションのための小角X線散乱法

小角X線散乱法(SAXS)は、サンプルによって散乱したX線の強度を散乱角度の関数として測定する分析技術です。測定は0.1度~5度という極めて狭い角度で行われます。

小角X線散乱法の仕組み

Braggの法則から、散乱角度を狭めるほど、より大きな構造的特徴を調べられることがわかります。SAXS信号が観測されるのは、一般に1~100 nmという長さのナノメートルスケールの構造的特徴が材料に含まれている場合です。一方、広角X線散乱法(WAXS) (別名: 広角X線回折法(WAXD))では、材料に含まれる構造を、原子間距離というはるかに小さな長さのスケールで調べます。小角X線散乱法(SAXSおよびWAXS)は互いを相補う技法です。 

SAXS測定の実験設定では透過法配置を用います。そのためには、幅が極めて狭いながら強度の高い入射X線ビームを作り出すX線光学系が欠かせません。なぜなら、サンプルからの比較的弱い散乱信号を直接ビームのすぐ近くで測定する必要があるからです。また、線形性が高く、測定範囲が広く、固有ノイズを無視できるようなディテクタを用いることも不可欠です。ディテクタの空間分解能が高いとハイエンドのSAXS装置に有利です。というのも、コンパクトな実験設定でも良好な低角分解能を実現できるからです。

ナノ材料分析への小角X線散乱法(SAXS)の応用

SAXS法は、ナノ材料の構造特性評価用として用途の最も広い技法に数えられています。固体、粉末、ゲル、液体分散媒のサンプルに対応しており、非結晶、結晶または準結晶かを問いません。 

測定に必要なサンプル調製は最低限で済み、たいてい現場で対応できます。全体を測定する技法であるSAXSは、大きなサンプル容積にわたって平均化された構造的特徴を調べます。

小角X線散乱法で調べられる典型的なサンプル:

  • 液体ナノ粒子の分散/コロイド  
  • ナノ粉末
  • ナノ複合体
  • ポリマー
  • 界面活性剤
  • マイクロエマルション
  • バイオ高分子
  • 液晶
  • メソ細孔材料

SAXS材料特性

測定された散乱プロファイルを評価することで、材料の構造や特性について次のような幅広い情報が得られます。

  • ナノ粒子の粒度分布 
  • 粒子形状
  • 粒子構造(核/外層など)
  • 特定の比表面積
  • ナノ粒子の凝集挙動
  • 細孔のサイズ分布
  • 液晶相

こうしたパラメータの制御は重要です。なぜなら、これらはナノ材料の化学特性や物理特性と関連しているからです。これらはまた、用途における材料のパフォーマンスを決定づけます。SAXSは、R&Dでの新たな材料の開発に、そして品質管理に貢献するツールです。

小角X線散乱法製品

Empyrean Nanoエディションは、複数の長さスケールで(ナノ)材料の構造特性評価に使用可能な各種X線散乱技法に対応する専用のX線散乱プラットフォームです。

Empyrean X線回折プラットフォームは、コンパクトな設定でSAXS測定用に素早く構成できます。幅広い光学部品、サンプルステージ、ディテクタを選択できます。特定のサンプルやパフォーマンス要件に構成を合わせることができます。

SAXS検出器

ScatterX78は、Empyrean向けのPreFIXアタッチメントで、高性能SAXS/WAXS測定を実現にします。ビームパスは真空に引かれ、散乱の弱いサンプルに対しても良好な感度を達成します。 

当社のハイブリッドPIXcelディテクタは、固有ノイズレベルが極めて低く、測定範囲が広く、計数率の線形性に優れ、ピクセルサイズが小さいことから、この用途に最適です。

SAXSソフトウェア

EasySAXSソフトウェアには、SAXSデータ分析用の完全なツールボックスが含まれています。このソフトウェアを使用することで、データ抽出、モデルに依存しないデータ分析、粒子の粒度分布の決定、各種モデルを使用したフィッティングやシミュレーションができます。 

また、自動化やレポート生成のオプションも用意されています。実績ある先進のアルゴリズムが搭載されており、グラフィックユーザーインターフェースから簡単に使用できます。 

EasySAXSは究極の使いやすさを目指して設計されており、初心者にも上級者にも適しています。

Empyrean Nanoエディション

Empyrean Nanoエディション

多目的X線散乱プラットフォーム

Empyrean(エンピリアン)

Empyrean(エンピリアン)

多目的X線回折装置

技術
XRD分析