ウイルスとその派生物は、バイオ医薬品、バイオテクノロジー、およびナノテクノロジーにおいて数多くの用途があります。 遺伝子治療では、ウイルスは組み換え遺伝子を標的細胞に供給するためのベクターとして使用され、次のような方法で疾患を治療または予防します。  

  • 病気の原因となる突然変異遺伝子を健康な遺伝子のコピーに置き換える
  • 不適切に機能している突然変異遺伝子を不活性化または「ノックアウト」する
  • 新しい遺伝子を体内に導入して、病気との闘いを支援したり症状を治療したりする


アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)などの動物ウイルスは、数十年にわたり遺伝子治療の開発に利用されてきました。 近年では、このアプリケーション領域は、主に組み換えAAVベクターエンジニアリングの開発やin vivoでの遺伝子治療のための生成物により大きな成長を遂げています。

制御された経済的な製造プロセスを通じて生産される効率的な遺伝子治療ベクターを開発するには、複数の課題に対処する必要があります。これらの課題は、カプシド設計から最適なプロセス、および製剤条件の特定にいたるまで、原薬および医薬品生産の包括的な品質管理にまで及びます。

生体内遺伝子治療の開発ワークフローにおけるMalvern Panalyticalの応用ソリューション

カプシドの設計から、下流のプロセス条件の最適化、製剤化、安定性試験、原薬および医薬品の広範囲の特性評価まで、ダイナミック光散乱(DLS)光散乱電気泳動法(ELS)多角度動的光散乱(MADLS)サイズ排除クロマトグラフィー-多角度光散乱法(SEC-MALS)ナノ粒子トラッキング法(NTA)等温滴定型カロリメトリー(ITC)示差走査型カロリメトリー(DSC)などの技術が、ウイルスベクターの主要な分析や品質属性について研究者が把握するために、以下の特性評価、比較、および最適化に使用されます。

  • カプシドサイズ(DLSSECNTA)
  • カプシド力価または粒子数(MADLSSECNTA)
  • 総ウイルス中のゲノム含有ウイルス粒子の割合(SEC
  • 凝集体形成(DLSMADLSSECNTA)
  • 断片化(SEC)
  • 熱安定性(DLS, DSC)
  • 高次構造解析(DSC)
  • 血清型の同定(DSC)
  • カプシドの脱コーティングとゲノム排出(DLSおよびDSC)
  • 受容体との結合(ITC)
  • 電荷(ELS)


DLS、MADLS、SEC-MALS、NTA、ITC、およびDSCは、最小限のアッセイ開発を要するラベルフリーの生物物理学的手法であり、あらゆる段階で容易に適用できるため、遺伝子治療開発の分析ワークフローを強化します。

注目のソリューション

注目の技術

研究と初期開発: ウイルスカプシドの設計

遺伝子治療の発見プロセスは従来の創薬よりも短縮化されていますが、製品が複雑になると、安全で効果的な製品の提供を保証するために、早期に対処しなければならない追加の課題が発生します。 これらの課題には、次のようなものがあります。

  • 最適な特性と機能に基づいたウイルスカプシドの選択
  • 元のウイルスカプシドの特性や機能を向上および変更するための合理的なタンパク質工学


どちらのケースでも、物理化学的、生化学的、および生物学的データの包括的なセットに基づいてソリューションが構築され、ウイルスベクターの性能を明らかにし、選択プロセスに関するフィードバックを提供します。

この段階で、DLSMADLSSEC-MALSITCDSCを使用した、改変されたカプシドおよびウイルスベクターの広範な生物学的特性評価を行うことで、カプシドサイズと力価の測定、凝集体形成、総ウイルス中のゲノム含有ウイルス粒子の割合、受容体結合、熱安定性、カプシドの脱コーティングの傾向を通じて、重要な品質指標の信頼できる評価と生化学的および生物学的アッセイ結果の解釈をサポートします。

注目のソリューション

遺伝子治療プロセスの開発

遺伝子治療の製造プロセスは、厳格な規制要件、およびその他の品質、スケジュール、コストに関する内部の期待を満たす必要があります。 目的に合ったソリューションは、分析ワークフローをサポート、および強化し、以下の課題に対処するために必要です。

  • 製品が非常に複雑である
  • 設計および開発における遺伝子導入のためのウイルスベクターの多様性 
  • 大きな変動が生じている長期間の分析アッセイを伴う不適切な下流工程


下流の精製プロセスでは、収量の決定と、ウイルスベクターの純度、有効性、安定性、および安全性などの重要な品質属性(CQA)をレポートするのにキーとなる、分析属性を決定するために、複数のアッセイが実行されます。  これらのパラメータは通常、次のようになります。(ただし、これらに限定されません。)

  • カプシド力価または粒子数
  • ゲノム数
  • ゲノム含有ウイルス粒子の割合
  • 血清型特性評価
  • 凝集体形成 
  • 不要な宿主細胞タンパク質やヌクレオチドによるコンタミ 


最初の3つのパラメータ(カプシド力価、ゲノム数、ゲノム含有ウイルス粒子の割合)は、通常、qPCR、ddPCR、ELISA、AUC、HPLC-AEX、およびTEMのうち2つ以上のアッセイを使用して測定されます。  各メソッドには、測定されたパラメータ、スループット、速度、精度、サンプル必要量に関連する固有の長所と短所があります。 

遺伝子治療: 特性評価、比較、最適化

ゼータサイザー Ultraは、AAVなどのウイルスベクターのプロセス開発において、既存の分析ワークフローで利用可能な補完的アッセイとして最適であり、総ウイルス粒子濃度、カプシド力価、カプシドサイズ、電荷、凝集体形成、熱安定性、カプシドの脱コーティングなどについて、迅速、かつラベルフリーで非破壊、小容量でオルソゴナルな測定を提供します。

粒子濃度測定には、精密で正確なサイズ分析が不可欠です。 ゼータサイザー Ultraは、3つの散乱角度を利用して、高精度の高分解能測定を実行できます。 多角度動的光散乱(MADLS)では、背面角、側面角、前面角からの散乱情報が収集され、より代表的なデータを提供する単一の高分解能粒度分布に結合されます。

サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は長年にわたり、高分子、タンパク質、ウイルス、多糖類、およびポリマーの分子量を測定するための重要なツールとして長い間使用されています。 OMNISECは、マルチ検出SECシステムで、カプシドやゲノム力価など、AAVのいくつかの主要な分析および品質属性に関するデータを提供できます。さらに、ゲノム含有ウイルス粒子の割合に関するデータも提供できます。 これらのデータはUV検出のみでは入手できません。これらの重要なパラメータは、ウイルスベクターの純度、有効性、安定性に関する重要な情報を提供します。

示差走査型カロリメトリー(DSC)は、市販のワクチンを含むウイルスベースの製品の特性評価および開発において実績のあるツールです。 DSCは、ウイルスベクターの複数の安定性指標に加えて、血清型IDの特徴であるカプシド分解のTmを提供し、熱安定性をマッピングし、高次構造をフィンガープリントして、ストレス、処方、またはプロセス条件の変化に応じて構造変化を検出できます。
ウイルスカプシドの安定性と機能は、絶妙なバランスで結びついています。 ウイルスカプシドは、ゲノムを封じ込めて保護し、細胞取り込みのために宿主細胞表面に結合し、細胞環境を移動するために十分な安定性を備えている必要があります。 ただし、ウイルスカプシドは、複製部位でゲノムを放出するのに十分なコンフォメーション不安定性も備えている必要があります。

AAVベクターの脱コーティングのメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、カプシドの脱コーティングとゲノムの放出には構造的な変更が必要であると考えられます。  ウイルスベクターの脱コーティングの傾向は、重要な品質属性である感染性と相関すると仮定されています。 DSCは、多角度動的光散乱の昇温測定と組み合わせることで、緩衝液およびストレスの条件に応じたウイルスカプシドの脱コーティングの傾向を評価することができます。

関連製品

Expert solutions in 遺伝子治療. Contact us to discuss your challenges.
お問い合わせ 会員登録